提督「」高雄「」愛宕「」シリーズ 目次

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/06/14(日) 17:43:14.61 ID:ZEl6sALqO

< しかいない >





高雄「……ここ私たちの寝室のベッドの中ですからね」

提督「や、でも一応高雄と愛宕以外は誰も入れたことないぞ、寝室にすら」

高雄「それは割と当然の……」

愛宕「ね、私たちの寝室? 」

高雄「…………」

提督「俺たちの寝室だろ? 問題でも? 」

愛宕「ぜーんぜん。でも高雄も言うようになったなって。あの、高雄が」

提督「そりゃ俺とお前が、な? 」

愛宕「そうねぇ」

高雄「…………やれやれ。相変わらずですね。悪くはないのですけれど、はぁ」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434271394


                        引用元: ・【艦これ】提督「俺と」高雄「私と」愛宕「私」
8: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:33:25.99 ID:7WDHaRcEO

< 横須賀より愛/哀を込めて > 





金剛「あー……明日は愛宕の進す、誕生日デスカ」 

金剛「…………」 

金剛「…………」 

金剛「…………」 

金剛「…………」 

金剛「複雑な気分ネー……」 

金剛「…………」 

金剛「…………」 

金剛「…………」 

金剛「…………」 

金剛「……お祝いのLetterでも出しておきましょうかネー」 

9: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:34:33.51 ID:7WDHaRcEO

< 見る目、というかなんというか > 





高雄「六月十五日の誕生石はレッドタイガーズアイ。 
石言葉は“ 純粋 ”、“ 誠実 ”、そして“ 素直 ”」 

提督「素直ってのも難しい話だよな」 

Littorio「ただ従順で反抗しないだけでは素直とは言えませんものね」 

提督「あぁ、かといってどこら辺をどうすれば素直、ってのも説明しにくいしな」 

高雄「はぁ」 

Littorio「しかしあなたの前での高雄はおそらく素直と言えるでしょうね」 

提督「あぁん? 」 

Littorio「Littorioの前とあまり変わりはないでしょうけど……でも素直と言えるでしょう。声音や調子を見れば、ね」 

高雄「…………」 

提督「…………」 

高雄「…………」 

提督「……納得した」 

10: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:35:05.60 ID:7WDHaRcEO

< この季節がやってきた > 





提督「暑い」 

高雄「ですね」 

提督「暑い」 

高雄「はい」 

提督「……梅雨はどこ行った」 

高雄「さぁ……判を待っている書類なら目の前にありますよ」 

提督「ふぇ……」 

高雄「加賀さんの提案なんですから。しっかり実弾演習の手配お願いしますね」 

提督「くっそ……それやっても俺だけなんもできねぇじゃねぇか」 

高雄「それなら的でもやります? 」 

提督「あ、それはいいです、はい」 

11: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:35:53.18 ID:7WDHaRcEO

< 和気藹々ですよ? > 





高雄「今日の誕生花は雛罌粟。花言葉は“ 浪費 ”」 

加賀「あなたの見た目的に凄まじい浪費をしそうよね」 

愛宕「ひっどーい、私はこの上なく主婦向けの女ですー」 

加賀「……ふっ」 

愛宕「むしろ加賀さんのほうがかかりそうよねぇ……主に食費で」 

加賀「それを言えば天城も大概でしょう。酒代が酷いことに」 

天城「こちらにも被弾とは……明石さんもなんだかんだと工具や図面、研究室に浪費しそうですが」 

明石「はぁ、Littorioさんの場合はアレですね、あなたのために美しくありたいのー、みたいな。 
エステや宝飾にかかりそうです」 

Littorio「まさか。Littorioは素材がいいので」 

雲龍「……私たちの給与とあの人の給与を無くすほどの浪費なんて逆に難しいと思うのだけれど」 





提督「つーか、俺執務中……まぁ、いいや。楽しく喋っとけよ」 

12: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:36:24.60 ID:7WDHaRcEO

< 鈍感でも難聴でもないけれどクズ > 





提督「今日のカクテルはプルミエフルール。 
カクテルワードは“ 決して媚を売らない華麗な女性 ”、だ」 

Littorio「あの、本命の男を誘惑するのは媚とは言いませんよね? 」 

提督「この場合は惚れさせるような女、って意味だと思うが」 

Littorio「はぁ」 

提督「……まぁ、品があるかないかくらいのニュアンスだろ。少なくとも俺は媚びられた記憶はないね」 

Littorio「…………」 

提督「…………」 

Littorio「……まさか誘われた気ですらなかったり? 」 

提督「さぁ……どうだろうね」 

13: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:37:02.22 ID:7WDHaRcEO

< なんと > 





加賀「がおー」 

明石「……らしくないこと甚だしいです」 

加賀「がおー、ばうー」 

明石「いや、もういいですってば」 

加賀「……そう? 」 

明石「はい。今のを赤城さんに見せたいものですよ。 
無表情で口開けて手を上げた加賀さん」 

加賀「赤城さんはきっと笑ってくれるでしょうね」 

明石「やけに自信ありますね……まぁ、赤城さんが見たらまずはその口の理由訊くと思いますけどね」 

加賀「そう……これ味はただの飴なのね」 

明石「まぁ、それはそうでしょう」 





天城「あれ、何を食べてひぃっ…………ドラキュラ飴? 」 

14: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:37:42.57 ID:7WDHaRcEO

< ヤリに……言い逃げ > 





愛宕「恋多き男」 

提督「おう」 

愛宕「ヤリ○ン」 

提督「お、おう」 

愛宕「誰にでも優しい」 

提督「あぁ」 

愛宕「どんな女の子にも優しい」 

提督「あ、あぁ」 

愛宕「逞しい身体」 

提督「はい」 

愛宕「フェロモンボディ」 

提督「……うん? 」 

愛宕「全部同じ人の評価なのよね〜 。観点ってこっわーいっ」 

提督「…………」 

愛宕「……あ、そうだ高雄ー」 

高雄「はい? 」 

提督「…………えっ、それだけ? なにこれ、俺……え? 」 

15: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:39:16.11 ID:7WDHaRcEO

< 病むに病まれぬ事情 > 





明石「物理的にいえば絶対的に提督より強いですよね」 

雲龍「まぁ……そうね」 

明石「それなら一時でも押さえつけてなにもかも思い通りにしてみたいとは思いませんか? 」 

雲龍「なかなか魅力的な提案だけれど……ダメね」 

明石「はぁ」 

雲龍「それはもうあの人じゃないし、私あの人に嫌われたらまともに生きていけないわ」 

明石「高雄さんたちに殺されそうですもんねぇ」 

雲龍「……それに私はそれされたい側だし」 

明石「……そ、うですか」 

雲龍「ええ」 

明石「…………」 

雲龍「…………」 

明石(なーんかやっぱりディープ……) 

16: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:40:38.29 ID:7WDHaRcEO

< 宴の始まりは何の始まりか > 





加賀「明日は」 

明石「明日は? 」 

加賀「素晴らしい日よ」 

明石「あぁ、確かにいいもの食べられそうですもんね」 

加賀「今日は……寝付けるかしら」 

明石「そこまでですか」 

加賀「当たり前よ」 

明石「はぁ。……でも絶対にあの人と愛宕さんが何やるかわかる日ですよね」 

加賀「…………」 

明石「…………」 

加賀「…………寝付けるわ、きっと」 

明石「不貞寝ですねぇ……雲龍さんはどうなんでしょうか」 

17: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:41:39.39 ID:7WDHaRcEO

< 前夜 > 





提督「そうだ」 

愛宕「うん? 」 

提督「明日行きたい場所とかあるか? 」 

愛宕「あなたの実家? 」 

提督「……あのさ」 

愛宕「んー……お任せ、かしら」 

提督「……そうか」 

愛宕「ええ」 

提督「…………」 

愛宕「しっかり楽しい場所に連れていってくださいね? 」 

提督「おう」 

18: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/15(月) 23:42:26.57 ID:7WDHaRcEO

ありがとうございました 

23: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:23:28.40 ID:ijGF/Ar7O

< 縛られろ、とは言わないがね > 





高雄「六月十六日は重巡洋艦愛宕の進水日です」 

提督「そうだな」 

高雄「はい」 

提督「…………」 

高雄「…………」 

提督「…………」 

高雄「……私のときもそうですけどこの身体で現れた、受肉というべきかはわかりませんが、その日は別ですよ? 」 

提督「そっちにしてもいいけどさ」 

高雄「はい」 

提督「ルーツってのは大事だと思うよ、俺は」 

高雄「……そう、ですか」 

提督「おう」 

24: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:26:36.11 ID:ijGF/Ar7O

< あなたを形作るものは > 





愛宕「今日の誕生石はブルーオパール。 
石言葉は“ 個性的 ”と“ 持ち味 ”」 

提督「今日は愛宕か」 

愛宕「六月十六日は私の日なのよ〜 」 

提督「まぁ……そうだな」 

愛宕「私の持ち味とわいえばっ」 

提督「じゃじゃーん」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「? 」 

提督「あ、自分では言わないのか」 

愛宕「言ってもらいたいもの」 

提督「はーん……色々あり過ぎて一言じゃ言えない、が」 

愛宕「が? 」 

提督「あえて挙げるなら……俺を好きになってくれたこと、かな」 

愛宕「! くぅー……これは負けたぁ」 

提督「…………お前は何と戦っているんだ」 

25: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:27:45.63 ID:ijGF/Ar7O

< ピュア > 





明石「昔からそうなんですがイベントって落ち着かないんですよ」 

高雄「はぁ」 

明石「自分が主役ってわけでもないのにそわそわしちゃって」 

Littorio「なんとなくですがわかりますよ。期待感、といいますか」 

明石「ですよね? ワクワクって程じゃないですけど非日常なんだなぁ、っていう」 

高雄「…………」 

Littorio「そうですね。……高雄? 」 

高雄「は、はい? 」 

Littorio「大丈夫? 」 

高雄「少し考え事をしていただけだから。…………以外と純粋というかなんというか」 

26: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:28:39.37 ID:ijGF/Ar7O

< 嵌れば永遠に抜け出せぬ > 





愛宕「今日の誕生花はチューベローズ。花言葉は“ 危険な楽しみ ”」 

提督「お前さ」 

愛宕「うん」 

提督「これ言いたかっただけだろ」 

愛宕「どうかしらね〜 」 

提督「…………」 

愛宕「……うん? 」 

提督「……いや、でもお前が言うとその……そそるのは確か、か」 

愛宕「…………」 

提督「…………うん」 

愛宕「…………うふっ♪ 」 

27: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:29:19.07 ID:ijGF/Ar7O

< ヒールを履いて、靴音立てて、 > 





愛宕「どう? 」 

提督「ん、完璧」 

愛宕「そ、私もそう思う」 

提督「そう? 」 

愛宕「もう……どっちなの? 」 

提督「いや……ま、俺の見たてが確かで安心したよ」 

愛宕「私もあなたの見たてを着こなせて安心したわ」 

提督「できないわかないだろ」 

愛宕「そっちこそ」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「……行ってきな。夜からは俺が独占するんだから。今のうちだ」 

愛宕「はーい……あなたもいつも通り似合ってるわよ、提督さん」 

提督「ん」 

28: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:29:56.42 ID:ijGF/Ar7O

< 上から下まで眺めた感想 > 





高雄「…………」 

愛宕「…………」 

高雄「…………」 

愛宕「…………? 」 

高雄「…………なるほど」 

愛宕「なぁに? 」 

高雄「別に。満足できたようで」 

愛宕「全然よぉ」 

高雄「へぇ……」 

愛宕「だってまだ今日は終わってないから、ね? 」 

高雄「なるほど……いかにもあなたらしい」 

29: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:31:01.90 ID:ijGF/Ar7O

< ヌッと > 





雲龍「…………」 





明石「……相変わらずですねぇ、雲龍さんは」 

天城「まぁ、仕方ないです。それより天城としては明石さんも姉様側に回ると思っていたのですが」 

明石「どうしてです? 」 

天城「それは……」 

Littorio「あの人と寝たから? 」 

天城「! …………まぁ、そうです」 

明石「なるほど。……でも私にとってはあくまで副産物みたいなものですからね。 
あの人と繋がっていられればそれでいいんですよ」 

天城「はぁ……姉様にもおおしえしていただけませんか、その心持ち」 

明石「おしえてどうなるものでも……私だってなにも思わないとは言えませんしね」 

30: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:31:52.12 ID:ijGF/Ar7O

< 贈り物は? > 





提督「ん? ブレスレットとアミュレットと……コサージュはおまけだ」 

加賀「あなたのことだからアミュレットには洒落た意味でもあるんでしょうね」 

提督「一応は」 

加賀「へぇ」 

提督「…………」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「……おしえてくれないのかしら」 

提督「……意味をおしえると、なんてジンクスもあるんだが」 

加賀「その程度のジンクスなら私が帳消しにします。どうぞ」 

提督「はぁ……エメラルドは六月の誕生月石でさ。 
石言葉は“ 夫婦愛 ”と“ 幸福 ”と」 

加賀「ええ」 

提督「“ 永遠に ”」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「…………こっちが気恥ずかしくなるわね」 

提督「やめろ」 

31: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:32:35.86 ID:ijGF/Ar7O

< 子供心を蘇らせに、外へ > 





提督「今日のカクテルはプリンストン。 
カクテルワードは“ 子供心と好奇心を持ち合わせた人 ”、だ」 

加賀「あなたは飲まないのね」 

提督「運転の予定があるもので」 

加賀「……そう」 

提督「あぁ」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「……飲みに行くよりもあなたのステアの方が様になるし、美味しいわ」 

提督「ありがと。……でもそういう問題じゃないんだよね」 

32: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:34:55.93 ID:ijGF/Ar7O

< ある港のある部屋の > 





金剛「My sister.お酒でも飲みませんカ」 

霧島「ええ、構いませんよ」 

金剛「比叡と榛名とも呼んで……いっそ扶桑と山城も呼びましょうかネー」 

霧島「はぁ。大人数で、というと久し振りですね」 

金剛「今日はちょっと騒ぎたい気分なのヨー……」 

霧島「はぁ」 

金剛「……比叡たちを呼んでくるネ」 

霧島「…………あの」 

金剛「ンー? 」 

霧島「……相談なら、乗りますよ? 」 

金剛「oh……」 

霧島「……? 」 

金剛「…………大丈夫」 

霧島「でも」 

金剛「Stop……これでも霧島のお姉さん、なんだからネ? 」 

霧島「…………」 

金剛「……ジャ、呼んできマース! 」 

霧島「…………」 





霧島「…………よくもあのように痛々しい笑い方をできますね」、我が姉ながら」 

33: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:35:50.06 ID:ijGF/Ar7O

< とあるバーにて > 





提督「で、そのときは高雄の厚顔無恥さに苛立ってしけこんだワケ」 

愛宕「ふーん……それで手を掴まれたとかなんとか言ってたのね」 

提督「俺の目の前で高雄に触るとはいい度胸だとは思ったね」 

愛宕「高級軍人だものね〜。……中身は兎も角」 

提督「それはお前もだろ」 

愛宕「うん? 」 

提督「男と二人でバーまで来るような、ねぇ」 

愛宕「私はあなただけよ? 高雄はどうだか知らないけど」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「…………俺の斜め後ろのやつが見てる」 

愛宕「知ってる。罪なーー」 

提督「女だな、まったく」 

34: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:37:56.59 ID:ijGF/Ar7O

< キャスト不在で上演 > 





明石「今夜は帰ってこないんですよね? 」 

加賀「当然でしょう」 

明石「車で出掛けたのに行き先はお酒の飲めるところですもんねぇ」 

加賀「仮に飲まなくても帰ってこないでしょうけど」 

明石「はぁ」 

加賀「それより」 

明石「はい? 」 

加賀「これを観ましょう。あの人の倉庫から見つけてきたわ」 

明石「えーっと『仄暗い水の底から』? ……嫌な予感しかしないんですけど」 

35: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:39:19.69 ID:ijGF/Ar7O

< ちょっとした幕間劇 > 





「お姉さんお姉さん」 

愛宕「うん? 」 

「彼氏? 強そうだね」 

愛宕「そうねぇ……でも、結構ヘタレなところもあるのよ」 

「へぇ、そうは見えないけど……そういえばお姉さん名前は? オレはーー」 

愛宕「秘密。簡単に名前をおしえるような女に見える? 」 

「ははっ、どうだろう。そんなにオレが信用できないかい? 」 

愛宕「んー……簡単に名前をおしえたら次がつまらないでしょ? 」 

「ははん、次、次かぁ……」 

愛宕「そ、次」 





提督「…………ちょーっと試しに席を外してみればまったく……愉快な青年だな、おい」 

36: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:40:24.26 ID:ijGF/Ar7O

< フィナーレまでもうしばらくお待ちください > 





提督「ん、おまたせ」 

愛宕「んーん。暇潰しできたから」 

提督「そうか。……暇潰しとは酷いやつ」 

愛宕「パートナーがいる相手に声をかけるような人に与える優しさなんてないわよ」 

提督「……ふむ」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……そろそろ疲れたかも」 

提督「……部屋、行くか」 

37: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:42:37.52 ID:ijGF/Ar7O

< お子様は外へお願いします > 





雲龍「…………」 

加賀「…………」 

明石「…………」 

天城「…………」 

Littorio「…………ひぃっ」 

雲龍「……いつの映画なんです」 

加賀「2002年」 

明石「だから嫌だって言ったのに……うわぁ」 

天城「静かに」 

雲龍「……あなたどんなジャンルでもお構い無しなのね」 

加賀「自分の子が……いえ」 

明石「年代の割にリアルな」 

天城「…………」 

Littorio「いやっ……………………もう寝るぅ」 





高雄「? どうしたの? 」 

Littorio「エレベーターが……赤ちゃんが……」 

高雄「……? 」 

38: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:44:04.97 ID:ijGF/Ar7O

< 幕が上がれば観客の有無に関わらず > 





雲龍「Littorio脱落、と」 

加賀「貧弱な」 

明石「いや、でもこれいい気分じゃないですよ」 

雲龍「私たちの方が強いわよ、きっと」 

加賀「ええ」 

明石「そういう問題じゃ」 

雲龍「自分が殺せるものを怖がる気持ちはわからないわ」 

明石「ほら、慢心で負けるところとか想像したり」 

加賀「ふっ、慢心……ですって? 」 

明石「加賀さんは地味に赤城さんのこと馬鹿にしてませんかね……」 

天城「いいから静かにしてください。天城は楽しんでるんですからね」 

39: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:45:12.92 ID:ijGF/Ar7O

< 人しれない閉幕、あるいは > 





愛宕「それにしても……いい景色ね」 

提督「あぁ」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……今日が特別な日で、よかった」 

提督「あぁ」 

愛宕「……今日を、なんでもない日にしたい」 

提督「……あぁ」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「…………言葉なんて、いらないわよね? 」 

提督「……………………おいで」 

40: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:46:42.70 ID:ijGF/Ar7O

< さてさて舞台裏では > 





「……高雄と姉妹で、よかった」 

「本人に言ってやれよ」 

「だーめ、あれで調子に乗っちゃうんだから」 

「…………」 

「……なんだか嘘みたい」 

「ん? 」 

「……雲龍が来て、なんとなく拗ねて、勝手に泣いて」 

「……勝手ではないさ」 

「…………」 

「…………」 

「たった数ヶ月なのに、ね」 

「俺たちに残された時間がわからない以上、色んなことを楽しむべきだろ? 」 

「…………」 

「…………」 

「…………」 

「…………」 

「…………そう、ね……ん」 

「ん……」 

41: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/16(火) 22:47:49.22 ID:ijGF/Ar7O

< 人は皆何がしかの演目を演じねばならない > 





自分は、知っている 

姉が己よりも優秀で真面目な性格であることに劣等感を抱いていること 

この国の人間らしくない風貌に気質が浮かないかどうかを常に気にしていること 

身内に対する接し方と他人への接し方が実はとても違うこと 

それが他者への恐怖や姉妹と比べられることへの苦しみからきていること 



そこから逃げてくる場所が仲間たちのうちで、自分のところだけであるということ 

彼女を支えてやれるのは自分しかいないという、こと 

それを最大級の誇りとして自分が生きている、こと 



「…………朝になったら」 

「…………あぁ」 

「……綺麗な砂浜を、見にいきたいな」 

「……どこへでも。お前の望みなら」 

「ふふ……」 

「ん? 」 

「んー……もう寝るっ」 

「……そうか」 

「ちゃんと抱き締めて寝てね? 」 

「わかってる。……ほら」 

「ん……またね、__さん」 

「…………あぁ」 



そして、彼女もまた同じだということ 

自分と彼女は表裏の関係 

彼女の胸の中が、自分の逃げることのできる場所であるということ 

それがどれだけ幸せなことかを噛み締めながらーー 



きっと朝になればこの夜は溶けてなくなってしまうけれど 

でも、存在していたことだけは確かだから 

いつか彼女と想い出として語るときまで 

暫し、忘れたままでいようと、彼はーーーー 

47: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:43:02.21 ID:Y1vuxCDrO

< さらさらと髪がなびいて > 





提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「……砂浜ってこんなに綺麗だったんだな」 

愛宕「……うん」 

提督「……海ってこんなに穏やかだったんだな」 

愛宕「……そうね」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「…………みうー」 

愛宕「ふふ……なぁに、それ」 

48: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:45:07.11 ID:Y1vuxCDrO

< それを知ってまた一歩 > 





提督「なんていうかさ」 

愛宕「うん」 

提督「言葉はいらないなんて言うけど」 

愛宕「…………」 

提督「……それはとても幸せなことなんだなって」 

愛宕「うん? 」 

提督「……もう、色々伝わっちゃってるよな」 

愛宕「そうねぇ……色々、ええ」 

提督「伝わったかどうかは言葉でもわからない」 

愛宕「…………」 

提督「それをお互いに信じられるってのは……凄いことで、尊いことなんじゃないか」 

愛宕「……むず痒いわ」 

提督「まぁ、自覚はあるよ。変なこと言ってるなって」 

愛宕「んーん、そうじゃなくて」 

提督「あぁ」 

愛宕「……私なんかより、きっとあなたなんかより幸せになるべき人がいるはずなのにって」 

提督「……他人の悲劇は背負わないんじゃなかったか? 」 

愛宕「いつでも割り切れるほど強くはないもの」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「…………幸せじゃないと言えない言葉だ」 

愛宕「…………そうね」 

49: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:46:04.59 ID:Y1vuxCDrO

< 雷はどうだろう > 





高雄「…………ん」 

高雄「…………」 

高雄「…………」 

高雄「…………」 

高雄「…………」 

高雄「…………起きなさい、朝ですよ」 

高雄「…………」 

高雄「…………」 

高雄「…………」 

高雄「…………」 

高雄「はぁ、映画の怖い人外とは……しかも一緒に寝てほしいとは一体」 

Littorio「……んふふ…………Zzz」 

50: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:46:44.71 ID:Y1vuxCDrO

< そういう問題じゃない > 





提督「おっはよーう」 

高雄「おはようございます。……おかえりなさい」 

提督「ん、ただいま」 

愛宕「ふぁ……眠たい」 

高雄「……はぁ、まぁわかりきったことですが」 

提督「ヤり過ぎには注意したぞ」 

愛宕「そうそう。ヒリヒリしないし」 

高雄「…………はぁ」 

51: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:48:02.55 ID:Y1vuxCDrO

< 続:そういう問題じゃない > 





高雄「六月十七日の誕生石はアメジスト。 
石言葉は“ 凝り性 ”、“ 芸達者 ”、“ 几帳面”、そして“ 着実 ”」 

雲龍「明石の几帳面さは異常よ」 

明石「はぁ、普段は変に遊ばせておくと危ない物を扱っているので」 

雲龍「それにしたって割り箸割る時の慎重さといったら……」 

明石「あ、それはですね」 

雲龍「? 」 

明石「……以前適当にしていたら思いっきり指に刺さりまして」 

雲龍「? どうせ治るじゃない」 

高雄「そんな大雑把な……普通に痛いでしょう」 

52: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:48:54.60 ID:Y1vuxCDrO

< 全て理解したような目で > 





高雄「今日の誕生花はホワイトクローバー。花言葉は“ 私のことを想って ”」 

提督「想ってるぞ」 

高雄「いや、私がどうとかじゃなく」 

愛宕「私も好きよ? 高雄のこと」 

高雄「だからこれは花言葉であって」 

提督「いいから」 

高雄「まったくよくな」 

愛宕「でも、本当のことでしょう? 」 

高雄「…………」 

提督「…………? 」 

高雄「…………なんでしょうこの敗北感」 

愛宕「……ふふ」 

53: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:50:46.69 ID:Y1vuxCDrO

< MajiでSizuむ五秒前 > 





提督「今日のカクテルはミリオンダラー。 
カクテルワードは“ 常に成長できる技量を持った敏腕家 ”、だ」 

高雄「努力する才能とかそういう意味でしょうか」 

提督「真面目に考えるならそういうことでいいんじゃない」 

加賀「努力……ふむ」 

提督「あん? 」 

加賀「いえ……どうも努力というものをあまりしてこなかったように思えて。 
戦場では必死さが先に立つ気がするし」 

提督「……それ俺だからいいけどさぁ」 

加賀「無論誰にでもは言わないわ」 

高雄「努力なんて基本的に辛いだけですから。しなくていいのならしない方がいいはずですよ」 

加賀「そう……そうね」 

提督「まぁ、実らなかった努力なんて特にそうだな」 

高雄「ええ」 

加賀「あぁ……努力では絶対に覆せない戦況というものもあるものね……ふふ」 

提督「うわーお……超ヘビィな話じゃんそれ」 

54: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:52:06.66 ID:Y1vuxCDrO

< 待つ、ということ > 





Littorio「雲龍や明石は兎も角として」 

高雄「ええ」 

Littorio「高雄はよく平然としていられますね」 

高雄「別にどうということはありません」 

Littorio「慣れ、ですか? 」 

高雄「そういうわけでもありませんが……愛宕は雲龍さんたちとはまた別の話ですし」 

Littorio「なるほど」 

高雄「それに」 

Littorio「はい? 」 

高雄「あの人、女と共依存する才能は青天井ですからね。 
……あの人自体がそもそも無意識に必要としているんですよ」 

Littorio「はぁ」 

高雄「……」 

Littorio「……クズですねぇ」 

高雄「まぎれもなく」 

55: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:53:01.37 ID:Y1vuxCDrO

< だって、好きなんですもの > 





雲龍「傷の舐め合いならまだわかるけれど」 

天城「はぁ」 

雲龍「余り者だけでホラー映画鑑賞というのもよくわからないわね。よく考えたら」 

天城「別に誰かが傷ついていたわけではないですし。 
姉様も多少ナイーヴになっていただけでしょう? 」 

雲龍「ん……微妙なところだけれど、そうね」 

天城「それよりも天城は真面目に観ない方が問題だと思います。 
あんなに楽しいのに」 

雲龍「…………あれが楽しいのはあなたくらいよ、ここでは」 

56: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:54:07.22 ID:Y1vuxCDrO

< 欲望 > 





雲龍「二人でいるときは私だけだって信じさせてくれるというかなんというか」 

明石「瞳には勝てないというか、流されてしまうというか」 

加賀「夢を見るための機械だとでも思っておけばいいのに」 

Littorio「あんなに楽しませてくれそうな顔をしているんですもの」 





高雄「なんとなくですが何を求めているかわかりますね」 

天城「……姉様がまともに見えるとは……なんという」 

57: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:57:05.14 ID:Y1vuxCDrO

< 6月17日@柱島 > 





明石「むっ……」 

愛宕「どしたの? 」 

明石「あぁ、夕張が柱島の整備を終えたとかで暫く休暇らしいんですよ」 

愛宕「へぇ、確か甲種卒業の秀才が着任するのよね」 

明石「らしいですね」 

愛宕「広島かぁ……なに? 」 

明石「そりゃ海軍工廠ですね」 

愛宕「他には? 」 

明石「まぁ、普通に無難なものを言えば厳島とか牡蠣とかじゃ」 

愛宕「そうよねぇ、普通そうよね」 

明石「? ……そういえば戦艦の陸奥が沈んでますね、柱島」 





提督「そんなもん江田島に決まってんだろ。他になんかあるのか? ん? 」 

高雄「まるで他になにもないような……」 

提督「そこしか記憶に無い。つーかさ、柱島って一応山口県だぜ? 広島湾にあるけど」 

58: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:58:28.88 ID:Y1vuxCDrO

< 逢いたくていま、とか > 





天城「……姉様がですね」 

提督「おう」 

天城「最近携帯音楽プレーヤを購入したのです」 

提督「へぇ……もうそろそろカラオケ完成するしな。天城もなんとかしとけよ」 

天城「はぁ」 

提督「天城越え、おすすめだぞ」 

天城「……それでですね」 

提督「あぁ」 

天城「聴いてる曲の殆どがバラードや悲恋なわけです」 

提督「…………」 

天城「ときどき重い溜息を吐いたり胸に手を当てたり……」 

提督「…………」 

天城「……天城、さすがに居た堪れない気持ちで一杯です」 

提督「…………」 

天城「…………今度優しくしてあげてくださいね」 

提督「…………おう」 

59: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/17(水) 22:59:46.28 ID:Y1vuxCDrO

< Memoryとかもうね > 






提督「そういやお前も持ってたな」 

Littorio「はい? 」 

提督「音楽プレーヤ。普段なに聴いてんの? 」 

Littorio「エレイン・ペイジ」 

提督「は? 」 

Littorio「えーっと……キャッツやサンセット通りをご存知ない? 」 

提督「いや、知ってるけどさ。斜め上過ぎんだよ……ポップスとか聴かないの? 」 

Littorio「最近はこの国のを中心に聴いていますよ。カラオケ、というもののために」 

提督「お、やるじゃん。楽しみにしとくよ」 

Littorio「ええ。……まぁ、言語の学習にも役立ちますしね」 

65: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:34:43.34 ID:/HByDSyNO

< 自らのチャームポイントを理解してこそ > 





提督「…………」 

Littorio「……? 」 

提督「……うん、うん」 

Littorio「……あの」 

提督「ん? 」 

Littorio「そんなに不躾に見られると、その」 

提督「あぁ、悪かっ」 

Littorio「火照ってしまいます」 

提督「……うん? 」 

Littorio「まぁ、それはいつかに鎮めてもらうとして」 

提督「……んー? 」 

Littorio「その、なぜLittorioを見ていたの……? 」 

提督「いや……女の子のミニネクタイの良さはさ」 

Littorio「はい」 

提督「おっぱいが大きいと映えるなって」 

Littorio「なるほど……確かにそうです」 

高雄「…………あなたはなぜそのまま同意するのかしら、Littorio」 

66: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:36:11.06 ID:/HByDSyNO

< これ以上何を望めば > 





高雄「六月十八日の誕生石はゴールドナゲット。 
石言葉は“ 切れ者 ”、“ 精力的 ”、“ 貫禄 ”、“ 人気者 ”、そして“ 賢い ”」 

提督「切れ者、賢い、うん」 

天城「馬鹿ではない、位には評価しましょう」 

提督「精力的」 

加賀「精力なら抜群ね」 

提督「それ違う意味だろ……人気者」 

雲龍「肯定しておきましょうか」 

提督「貫禄」 

愛宕「無駄に図体だけは大きいものねぇ……無駄じゃないこともあるけど」 

提督「結論」 

高雄「はい」 

提督「概ね俺は評価されている」 

高雄「はぁ。……これで満足できるんですか? 」 

提督「望み過ぎはよくないからね」 

67: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:38:46.49 ID:/HByDSyNO

< 美人の幽霊と出逢えるならば > 





高雄「今日の誕生花は柳。花言葉は“ 素直 ”、“ 愛の悲しみ ”、そして“ 憂い ”」 

愛宕「枝垂れ柳の前で写真を撮ると〜 」 

天城「心霊が写る? 」 

愛宕「って言うわよねぇ」 

高雄「それたまに聞きますけど何か根拠はあるんですかね」 

愛宕「さぁ」 

天城「天城も知りませんね」 

愛宕「あれじゃない? 川辺とか山に生えてたりするし自殺に結び付けられてるとか」 

高雄「“ 愛の悲しみ ”、なるほど」 

天城「入水……天城には考えられませんね。あんなにも暗く冷たい場所なんて」 

愛宕「それは天城が幸せだからよ。死ぬ人にとってはもとから暗いんだから」 

天城「確かに……そうですね」 

68: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:40:07.11 ID:/HByDSyNO

< 誰が為の願いか > 





提督「今日のカクテルはランベスレモネード。 
カクテルワードは“ 幸せを心から願える素敵な女性 ”、だ」 

雲龍「…………」 

提督「うん? 」 

雲龍「……誰の幸せのことかしらね」 

提督「そりゃ……自分じゃねぇの」 

雲龍「……そう」 

提督「…………」 

雲龍「…………」 

提督「……誰かのこととか、自分のこととかを願えないなら」 

雲龍「…………」 

提督「……俺がお前の幸せ、願っといてやるから。しっかり幸せになっとけ」 

雲龍「…………あなたに願われるというのも、複雑なものなのよ」 

提督「…………わかれとは言わないけどさ、それしかできないんだよ」 

69: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:41:09.76 ID:/HByDSyNO

< 定期的に食べたくなる > 





愛宕「うまうま」 

明石「……鰹のたたき」 

愛宕「そうね」 

明石「……金髪ロング」 

愛宕「そうね」 

明石「似合わないこと甚だしいですね」 

愛宕「んー……美味しいわよ? 」 

明石「知ってます。あぁ、私にもください」 

天城(……でも明石さんも似合うわけじゃないですよね) 

70: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:42:14.53 ID:/HByDSyNO

< その匂いもまた > 





提督「んー……やわえろ」 

高雄「ぁ……ん、離っ」 

提督「だーめ」 

高雄「やっ……ま、だ…………お風呂ぁ」 

提督「ここのお風呂でもいいじゃん? 」 

高雄「んっ……そういう問題じゃない、です」 

提督「俺は気にしないぜ? 」 

高雄「私が気にすッ……んぅ」 

提督「クク……いい反応」 

71: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:43:17.43 ID:/HByDSyNO

< 連山というかなんというか > 





天城「ふぅ……お風呂はいいですねぇ」 

明石「それ毎日言ってる気がしますね……まぁ、真理ですけど」 

天城「毎日暑い寒いと言ってしまうような」 

明石「なるほどわかります」 

天城「…………」 

明石「…………」 

天城「…………」 

明石「……相変わらず大きい」 

天城「……明石さんも割と」 

明石「そのはずなんですけど……ここにいると、ね? 」 

72: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:44:08.97 ID:/HByDSyNO

< Dancer in the Dark > 





Littorio「これはまともな映画なんでしょうね」 

加賀「さぁ、私も観たことがないから」 

Littorio「……観たところLittorioの祖国のものではないようです」 

加賀「デンマークらしいわ。主演がビョークという女性なんだとか」 

Littorio「ビョーク? アイスランド? 」 

加賀「知らないわね……」 

Littorio「…………」 

加賀「…………」 

Littorio「……あの人のチョイスを信じてみましょうか」 

加賀「ええ、私はつまみを持ってくるわ」 





愛宕「あーあ……私しーらない。別にホラーじゃないけど」 

73: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:45:55.62 ID:/HByDSyNO

< どこかおかしいことでも? > 





明石「聞いた話ですけど」 

天城「はぁ」 

明石「直立して計測すると若干垂れるので少しだけきつ目のサイズのブラを選びがちになるらしいです」 

天城「なるほど……でも、それ正確に測るのは困難ってことじゃあ」 

明石「らしいです。だからスタッフに訊くのがいいんだ、と」 

天城「はぁ。でもなぜそれを天城に? 」 

明石「や、きつくなってきてるんじゃないかなぁーっと」 

天城「……どうでしょうね」 

明石「…………」 

天城「…………」 

明石「…………」 

天城「……待って、その話は誰に聞いたのです」 

明石「そりゃあ……提督ですけど」 

天城「やはり。……………………やはり? 」 

74: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/18(木) 22:50:58.14 ID:/HByDSyNO

< 腰がね > 





提督「っと……風呂行く? 」 

高雄「…………」 

提督「高雄? 」 

高雄「…………」 

提督「ん? 」 

高雄「……お願いします」 

提督「あぁ……はい、腕回して」 





愛宕「あっ、私もまーぜて」 

提督「ん? だってさ」 

高雄「う、うそでしょ……」 

80: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:40:09.71 ID:Pxt/fZ9IO

< まぁ、幸せは人それぞれだし > 





Littorio「…………」 

加賀「…………」 

Littorio「…………」 

加賀「…………」 

Littorio「……暫く映画はいいです」 

加賀「……そうね」 

Littorio「…………」 

加賀「…………」 

Littorio「…………」 

加賀「…………」 

Littorio「……雲龍なら割とあれでも幸せを感じそうですけれど」 

加賀「やめてあげなさい」 

81: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:44:00.55 ID:Pxt/fZ9IO

< いいところもあるからね > 





高雄「六月十九日の誕生石はサファイア。 
石言葉は“ 茶目 ”、“ 機転 ”、“ 積極的 ”、そして“ 人情 ”」 

雲龍「積極的に行った方がいいの? 」 

愛宕「そうでしょうね。あの人あれで自分からはあんまり誘ってこないのよ。傷付きたくないから」 

明石「うわぁ……」 

天城「……まったく」 

雲龍「…………」 

愛宕「でも誘ったときの成功率はかなり高いわよ? 据え膳は器ごとってタイプだし」 

明石「うわぁ……か 

天城「……まったく」 

雲龍「…………」 

高雄「…………なぜ、好きになってしまったのか疑問に思いますね。ここだけ聞くと」 

82: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:44:49.48 ID:Pxt/fZ9IO

< 相手によって > 





高雄「今日の誕生花は赤薔薇。花言葉は“ 可愛らしさ ”」 

提督「へぇ……真っ赤な薔薇には棘があるって言わない? 可愛らしさ? 」 

高雄「当然薔薇には棘がありますよ。ただし」 

提督「うん」 

高雄「棘を仕舞う薔薇もいる、ということです」 

提督「ふーん……なるほどね。高雄の棘はどこに仕舞ったんだ? 」 

高雄「私の棘は……なくなってしまいました」 

提督「ん? 」 

高雄「……あなたに、全て抜かれてしまいましたからね」 

83: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:45:29.41 ID:Pxt/fZ9IO

< 訴え > 





Littorio「あのですね」 

提督「うん? 」 

Littorio「私物をどのように置いておこうが勝手なのは理解しています」 

提督「おう」 

Littorio「ただですね……それにも限度があるでしょう? 」 

提督「ん? 」 

Littorio「そもそもあなたのセンスにはガッカリです」 

提督「? 」 

加賀「……Dancer in the Darkという映画を昨夜二人で観たのよ」 

提督「はーん……馬鹿だろ? あらすじくらい調べてから観ろっての」 

Littorio「……なにもかも加賀の所為です」 

加賀「そんな理不尽な」 

84: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:46:40.04 ID:Pxt/fZ9IO

< 聴いて損はしないと思う > 





提督「ってもさ。曲はなかなかよかっただろ? 」 

Littorio「良過ぎるというかなんというか……心が掻き乱されました」 

加賀「どうもあれを聴いてからは調子が出ませんね」 

提督「なんなら出撃前とかに聴けばそれ以上テンション下がらないかもしれないぞ」 

Littorio「……馬鹿なんですか? いえ、馬鹿ですよね? 」 

加賀「これは賛同できませんね」 

提督「あ、そう……なんにせよいい作品はこっちを躁鬱状態にさせるもんだからなぁ。アルバム探そうか? 」 

Littorio「結構です」 

85: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:47:21.84 ID:Pxt/fZ9IO

< 心の壁を容易く > 





加賀「演習では明石を上手く使うことが重要になると私は考えます」 

提督「…………」 

加賀「そこで今次の演習では明石がどちらか一方の味方だけである、 
ということを盛り込んでいただきたい」 

提督「…………」 

加賀「なぜなら今まで遠洋に出たり中・長期の遠征に出る場合は母艦とする艦船での待機が常でしたが……」 

提督「…………」 

加賀「明石ら整備、修復班をローテーションで回し、効率を上げるためには彼女らの訓練も……あの」 

提督「うん? 」 

加賀「…………私の顔に、なにか付いていて? 」 

提督「んーん、綺麗だなって」 

加賀「ーーーー」 

提督「 続けてよ。聞いてるから」 

加賀「…………ッ、少し、席を外します。申し訳ありません」 

提督「んー? 」 

86: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:50:27.17 ID:Pxt/fZ9IO

< それ以上突っ込めない > 





提督「今日のカクテルはスカイコズモ。 
カクテルワードは“ 流行に流されない教養深い識者 ”、だ」 

明石「流行に流されないといえば聞こえはいいですけど」 

提督「おう」 

明石「単に乗れてないだけのような気がします」 

提督「乗りたいのか? 」 

明石「そりゃ乗った方がいいでしょう。 
乗れば降りれますけど乗らないと降りるとかそういうところまでいけませんから」 

提督「はーん……」 

明石「…………」 

提督「…………」 

明石「……? 」 

提督「……いや、至極真っ当な話だなと思って」 

87: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:50:59.07 ID:Pxt/fZ9IO

< 違和感 > 





提督「んー……なんかもぞもぞする」 

愛宕「もぞもぞ? 」 

提督「ちょっと見てくんない? 耳なんだけど」 

愛宕「はいはい。んー……見えない」 

提督「俺の方が背高いし部屋暗いしな」 

愛宕「ええ」 

提督「……」 

愛宕「……」 

提督「……膝枕だ、耳かきだ! 」 

愛宕「はいはい」 

88: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:51:36.19 ID:Pxt/fZ9IO

< まーた原作を…… > 





高雄「本? 」 

明石「はい。ちょっと構築してた理論に穴が見つかってやる気が出ないので」 

高雄「はぁ。本を勧めるのはなかなか難しいことなのですよ」 

明石「まぁまぁ。ちなみにジャンルはなんでも大丈夫です」 

高雄「なんでも……じゃあ、これで」 

明石「『イニシエーション・ラブ』? 」 

高雄「まずはなにも聞かずに読んでください。 
そのうち映画を放映するとか聞きましたしあまり難しいことは書いてませんよ」 

明石「ありがとうございます。頭空っぽにしたかったんですよねー」 

高雄「いえ」 

高雄(明石さんなら読み終わる前に理解してしまうかもしれませんね……それも楽しみの一つかもしれませんが)

89: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:52:22.98 ID:Pxt/fZ9IO

< リスクと欲望を天秤に > 





提督「ふぇ……気持ちいいですぅ」 

愛宕「ちょっと、動かないでよ」 

提督「これは寝てしまいそうですねぇ」 

愛宕「いいけど……刺さるかもよ? 」 

提督「それは勘弁」 

愛宕「と、言いつつ太もも触らないでよ、んっ」 

提督「お、ここがいいんですか? 」 

愛宕「いいけどよくないっ」 

提督「へっへっへ。……刺さんの怖いから黙るわ」 

愛宕「そうして」 

90: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:52:58.15 ID:Pxt/fZ9IO

< 数合わせでも > 





Littorio「バカラ」 

高雄「BJ」 

明石「大富豪」 

雲龍「そこは大貧民でしょ」 

天城「バカラで」 

加賀「私は……大富豪で何をするか決めましょうか」 

91: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:53:35.39 ID:Pxt/fZ9IO

< な、なにがあった > 





愛宕「んー……ちょっと硬い椅子ねぇ。安心感はあるけど」 

提督「柔らかい……けど重い」 

愛宕「失礼な」 

提督「なに、心地よい重ささ」 

愛宕「ん、んんー」 

提督「っ、っと……これ以上刺激したらいじめるよ? 」 

愛宕「望むところ? 」 

提督「そう? ……バックで押し潰したい気分」 

愛宕「やぁ……でも、感じられて好き」 

92: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:54:37.99 ID:Pxt/fZ9IO

< 勝った方がいいのかどうなのか > 





加賀「結局、そのまま大富豪……何巡目? 」 

天城「少なくとも天城は一度も大富豪にはなっていませんね」 

雲龍「……都落ち四回目」 

Littorio「はははっ……Littorioの敵ではありませんね」 

明石「……革命で」 

Littorio「へっ? 」 

高雄「……私にはそれを覆せませんね。まぁ、貧民なのでどちらにせよ」 

Littorio「…………」 

加賀「あと三巡。最下位は提督と愛宕に特攻すること」 

Littorio「お願いだからLittorioの甘い逢瀬を潰さないで」 

加賀「勝ちなさい。それだけよ」 

93: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/19(金) 22:55:13.73 ID:Pxt/fZ9IO

< 聖す……冷水 > 





提督「あー……ミネラルウォーター」 

愛宕「……ん」 

提督「それ冷たくない……ぁふ」 

愛宕「んー……満足」 

提督「満足じゃねぇよ」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……下から取り返してみる? 」 

提督「馬鹿言うんじゃねぇよ」 

99: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:29:30.97 ID:KUA0+zYa0

< さすがに特攻できなかった> 





提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「……おはよう」 

愛宕「ん、おはよう」 

提督「…………」 

愛宕「…………」 

提督「……なんか昨日の夜一瞬だけドアが開いた気がする」 

愛宕「え、心霊的な? 」 

提督「天城って死んだっけ? 」 

愛宕「さぁ……生きてたと思うけど」 

100: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:30:20.13 ID:KUA0+zYa0

< しゃこしゃこ > 





提督「そろそろこの歯ブラシも替え時かな」 

愛宕「替えはいつものところよ」 

提督「ん」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……歯磨き、してあげたことないわね」 

提督「そんなんいるか」 

101: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:31:01.37 ID:KUA0+zYa0

< しゃこしゃこ > 





提督「そろそろこの歯ブラシも替え時かな」 

愛宕「替えはいつものところよ」 

提督「ん」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……歯磨き、してあげたことないわね」 

提督「そんなんいるか」 

102: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:32:33.75 ID:KUA0+zYa0

< 大盛りのような、並 > 





高雄「六月二十日の誕生石はグリーンフローライト。 
石言葉は“ 丁重 ”、“ 人を立てる ”、“ 質素 ”、“ 慎ましい ”」 

提督「雲龍」 

雲龍「なに? 」 

提督「そういえばお前の質素病治ったみたいだな。 
なにごともなく生活してるし」 

雲龍「あぁ……そもそもこれまであまり豊かなものを見てなかったもの。 
誰でも少しは戸惑うでしょう? 」 

提督「少し? ……まぁ、並の生活ができるようになって嬉しいよ、俺は」 

雲龍「並? 」 

提督「…………」 

雲龍「…………」 

高雄「……二人とも自分基準のどんぶり勘定をやめたらどうです」 

103: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:33:16.62 ID:KUA0+zYa0

< ピロリン♪ > 





提督「ん? はーん……」 

愛宕「どしたの? 」 

提督「再来月の同窓会に誘われた」 

愛宕「どこで? 」 

提督「地元で」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……行く? 」 

提督「そんなわけ。確かにそれくらい行きたいけどな」 

104: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:33:59.01 ID:KUA0+zYa0

< だ、誰が嫁なんだ? > 





提督「つーかさ」 

愛宕「うん」 

提督「俺の歳で同窓会行くと大体女か金か車の話しかしねぇんだよ」 

愛宕「そ、そう」 

提督「……俺が行ったらどうなると思う? 」 

愛宕「…………」 

提督「…………」 

愛宕「……仲のいいお友達以外とは喋らない方がいいかもしれないわねぇ」 

提督「仲いいやつにもスマホの写真とか絶対見せられないしな」 

105: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:34:43.23 ID:KUA0+zYa0

< 断れない性格、みたいな > 





高雄「今日の誕生花は鍬形草。花言葉は“ 忠誠心 ”、“ 頑固 ”、そして“ 人のよさ ”」 

天城「人のよさも悪く作用することがあると天城は知りました」 

提督「うん? 」 

天城「……まぁ、単に意志が弱いだけかもしれませんけれど」 

提督「なんだよそれ……あぁ、そういえば」 

天城「はい? 」 

提督「昨日の夜俺の部屋来なかったか? 」 

天城「……さぁ、知りませんね」 

提督「そうか。……惚けかな」 

天城「きっとそうですよ。不摂生な生活をしているから」 

提督「そうだなぁ……簡単にやめららたら苦労しないんだけど」 

106: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:35:28.04 ID:KUA0+zYa0

< 時々信じられない間違いを犯す > 





提督「夜は多摩もネコなのかなぁ」 

高雄「……知りませんよそんなこと」 

愛宕「まーた、唐突な下ネタ。しかもここにいない人の」 

提督「お前には文句言われたくないな」 

高雄「私からすればどちらもおかしいのですが」 

提督「そうだろうけど」 

愛宕「あれじゃない? 高雄でも案外……だから、うん」 

提督「あぁ……なるほどね」 

高雄「にゃんで、す……と? 」 

提督「ん? すっげぇ噛み方したな」 

愛宕「ん? それともわざと? 」 

高雄「…………コーヒー淹れてきます」 

107: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:36:46.75 ID:KUA0+zYa0

< 二輪のような夫婦、みたいな > 





提督「は? 一輪車? 」 

雲龍「ええ、買ったの」 

提督「あ、そう。こっちの施設なら適当に使っていいぞ。 
レクリエーション施設も一応あるし」 

雲龍「そ、ありがとう」 

提督「おう」 

雲龍「……一人と一輪車の練習というのもなかなか」 

提督「そのうち見に行くって。執務を片付けたら」 

108: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:37:29.38 ID:KUA0+zYa0

< 誰かの幸せの上に > 





提督「今日のカクテルはシェカラート。 
カクテルワードは“ 未来に夢を抱く感性豊かな人 ”、だ」 

愛宕「未来」 

高雄「……」 

提督「……」 

愛宕「……私たちも前線に出た方がいいのかしらね」 

提督「それでもいいが仮に認められたとしてもどちらにせよ同じだけの戦力がここにいないとならない」 

高雄「……しかし、その方たちの休息にはなるでしょう」 

提督「俺、クズだからさ。正直そんなこと関係ないね」 

愛宕「……自分たちが幸せであれば、か」 

高雄「…………」 

愛宕「…………」 

提督「……それが未来ってもんだ。未来ってのは自分だけのものなんだからな」 

109: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:38:11.63 ID:KUA0+zYa0

< 大皿がみるみる > 





天城「……普通の軍施設にはビールサーバってあるものなのでしょうか」 

雲龍「さぁ……これくらいなら普通にありそうだけれど」 

天城「…………」 

雲龍「…………」 

天城「……一杯、いただきます」 

雲龍「いいけどあなたビール苦手じゃ……はいはい」 





明石「まぁ、そもそも普通はあれくらいの女性が二人してサーバの前で問答なんてしませんし」 

加賀「あなたは何を言っているの? 食べないならそのマリネを」 

Littorio「あ、Littorioもそれいただきたいです」 

明石「ダメです。お二人は先ほどから食べっぱなしでしょう」 

110: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/20(土) 20:38:56.01 ID:KUA0+zYa0

< 列挙 > 





提督「愛宕は別になにも掴まなくてもいられるタイプ」 

愛宕「うん? 」 

提督「高雄は……時々背中が痛い」 

高雄「…………」 

提督「雲龍はむしろ好きあらば傷付けさせようとしてくる」 

愛宕「へぇ……」 

提督「加賀はよくわからん。機会が少ないし」 

高雄「はぁ」 

提督「明石は……明石も加賀と同じだけど割と普通な気がする」 

愛宕「…………」 

高雄「…………」 

提督「……いや、オチなんてねぇよ」 

116: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:17:26.28 ID:V2dbIcTmO

< 撫でる > 





提督「……CMも多様化してるなぁ」 

加賀「これは……度し難いわね」 

提督「女の子から見ればゲームや漫画なんて大体そうだろうね」 

加賀「現実でできないことを、ということかしら」 

提督「たぶん」 

加賀「そう」 

提督「あぁ」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「……しないのかしら」 

提督「えっ、これ撫でる流れだったのかよ」 

117: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:18:23.91 ID:V2dbIcTmO

< 牽制のような違うような > 





高雄「六月二十一日の誕生石はサーペンティン。 
石言葉は“ 高潔 ”、“ 上品 ”、そして“ 淑やか ”」 

提督「淑やか、とは違うかもしれないけど」 

高雄「はい」 

提督「女形の最高峰は女よりも女らしいとか言わない? 」 

高雄「そう聞きますね」 

提督「あれって女らしさを研究した証だろ? 
それなら女が女らしさを研究してそうならないわけはないと思うんだよね」 

高雄「はぁ……しかしですね」 

提督「あぁ」 

高雄「究極に女らしい女がいたとして自分がそれに値する男だと思いますか? 」 

提督「……なかなか言うね」 

高雄「それほどでも」 

118: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:19:02.38 ID:V2dbIcTmO

< 転生するとしたら > 





愛宕「何になりたい? 」 

提督「女の子」 

愛宕「あっくしゅみー」 

提督「何言ってんだ。記憶は新しい子だろ? 
変なことはしないで普通に恋して普通に抱かれて普通に結婚したいの」 

愛宕「そう。……その時は私がしっかり抱いてあげる」 

提督「あ、そう」 

愛宕「でもこのままだとしたら高雄兄さんと、3P? 」 

提督「えぇ……お前は女の子に対する慈悲ってものがないの? 」 

愛宕「結局気持ちよくなっちゃうくせに」 

提督「……あのさぁ」 

高雄「愛宕が弟……? 」 

愛宕「うん」 

高雄「…………提督の兄の方がマシですね」 

愛宕「そんなぁ」 

提督「当たり前だろ」 

119: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:21:44.99 ID:V2dbIcTmO

< 己を顧みて > 






雲龍「え、既に兄弟だったりしないの? 」 

提督「兄弟? 姉妹じゃなく? 」 

雲龍「ええ」 

提督「……? 」 

雲龍「…………」 

提督「……あ、もしかして俺が掘られるとかそういう? 」 

雲龍「ええ。ないの? 」 

提督「ねぇよ。さすがに俺のこと馬鹿に……」 

雲龍「どうしたの? 」 

提督「……いや、大概馬鹿にされても仕方ないな、と」 

120: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:22:42.61 ID:V2dbIcTmO

< 線香花火の様に > 





高雄「今日の誕生花は皐月。花言葉は“ 節制 ”」 

愛宕「もうその単語は馬の耳に念仏並の意味よね」 

高雄「あの人にとっては」 

愛宕「うん」 

高雄「……きっと私たちの寿命を信じていないのよ。 
私たちといつまでいられるかというものを悲観的にしか考えていない」 

愛宕「……三笠さんですらあの人と同じくらいの年齢だものね」 

高雄「外見はそのままに、ね」 

愛宕「…………」 

高雄「…………」 

愛宕「……今を楽しく生きる、か。とっても難しい」 

高雄「だからこそ、今はそれを考えずにいたいものです」 

121: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:23:21.19 ID:V2dbIcTmO

< そんなとき > 





提督「今日のカクテルはルジェカシスコラーダ。 
カクテルワードは“ 愛想を振りまく愛くるしい人 ”、だ」 

雲龍「ぶりっ子? 」 

提督「お前はまたネガティブなことを」 

天城「ぶりっ子はネガティブな評価なのでしょうか」 

雲龍「どうせ不特定多数の男にコナかけまくるのよ。女の敵だし男の敵ね」 

提督「……なにお前機嫌でも悪いの? 」 

雲龍「別に」 

天城「ぶりっ子……まぁ、特に思い浮かぶ方もいませんが」 

提督(……愛くるしければ正義だと思う、とは言えない雰囲気だなぁ) 

122: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:24:07.36 ID:V2dbIcTmO

< 三人寄っても緩やかに > 





加賀「月が隠れたわ」 

明石「雲に透けた月明かりというのもなかなか」 

天城「はふ……そうですね」 

加賀「あなたは飲めればいいのじゃなくて? 」 

天城「加賀さんこそ」 

加賀「……彼が隣だとなおよかったのに」 

明石「私でもそれなりに楽しいですよ、たぶん」 

天城「女三人で屋上飲み」 

加賀「…………」 

明石「…………」 

天城「風情もなにもありませんね。天城は構いませんが」 

123: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:25:08.62 ID:V2dbIcTmO

< どうせなら楽しく生きなきゃ > 





提督「……」 

雲龍「? ……っ」 

提督「なんか嫌なことでもあった? 」 

雲龍「べ、っつに」 

提督「そう」 

雲龍「……ん……ぅ…………! 」 

提督「……ヘソ出すの好きなの? 」 

雲龍「……ゃ」 

提督「これも……愛想とか、媚じゃない? 」 

雲龍「…………あ、なただけ、だからぁ」 

提督「そ。……下から指入れられるって素晴らしい」 

124: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:30:08.66 ID:V2dbIcTmO

< 真面目な会話 > 





高雄「次回の演習ではLittorioも参加するということらしいわね」 

Littorio「ええ、ただ遊んでいるわけにもいきませんし」 

愛宕「私たちにも降りかかってくる言葉ねぇ、それ」 

高雄「一応執務補佐ではありますが」 

愛宕「まぁね。……明石をどちらかの班につけるらしいけどどういう分け方なのかしら」 

高雄「提督と加賀さんが意見を出し合って最終的には彼が決めるようですね」 

Littorio「幾つかの班で演習を行って最適なものを決めるのでしょう。目的ごとに、ね」 

高雄「ふむ……あなたの力、楽しみにしていますよ」 

Littorio「ええ、祖国の恥とならぬよう、Littorioの名を落とさぬよう、力を尽くします」 

125: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/21(日) 23:33:54.65 ID:V2dbIcTmO

< 気付く > 





愛宕「バランスのいい分け方なら? 」 

高雄「私と愛宕は離すでしょうね」 

Littorio「それでは雲龍と天城も別々、と」 

愛宕「加賀さんとLittorioが問題なのよね。制空をどの段階まで進めるのか、とか。 
Littorioをどこまで近付けておくのか、とか」 

高雄「なんにせよ雲龍さんか天城さんのどちらかを上手く守るのが重要でしょうか」 

愛宕「そこで明石よね。ある程度特攻できる保険にもなる」 

高雄「あぁ、確かに」 

Littorio「……………」 

愛宕「…………」 

高雄「…………」 

Littorio「……………安心しました。ここって本当はこういう話をするところですものね」 

131: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:27:14.15 ID:19BuZHL4O

< 自分ルールみたいな > 





加賀「おはようございます」 

提督「あぁ、おはよう」 

加賀「ゆうべはおたのしみでしたね」 

提督「おう」 

加賀「……開き直られると複雑なのだけれど」 

提督「隠せないのなんて知ってるし……俺から誘ったしな」 

加賀「……そう」 

提督「自分から誘って面白くありませんでした、じゃあクズレベルが上がってしまう」 

加賀「今更な話だけれど……まぁ、いいわ」 

提督「ん」 

132: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:27:49.17 ID:19BuZHL4O

< 父の日 > 





加賀「そういえば昨日はお父様にはなにか? 」 

提督「ん、一応ね」 

加賀「そう。あなたのお父様、会ってみたいわ」 

提督「普通だぜ? 顔はまぁ似てるけど」 

加賀「それはさぞかし女性と」 

提督「いやぁ? 俺が言うと複雑だけど父親は超一途だぜ? 」 

加賀「なるほど」 

提督「あぁ」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「……つまり完璧な男ね」 

提督「そ、そっすね。ははは……」 

133: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:28:59.82 ID:19BuZHL4O

< パブロフの男、と煙草 > 





提督「あっ、そういえばさ」 

加賀「…………」 

提督「別に話題逸らしじゃないから、うん」 

加賀「……はい」 

提督「……お前の知り合いで喫煙者いないか? 」 

加賀「あなたが」 

提督「俺以外でさ」 

加賀「あなた以外となると……まぁ、何人か心当たりはありますね。それがなにか」 

提督「なーんか友達がガラムって煙草三カートンも送ってきてさ。 
俺、基本的にはヤった日の朝に決めた銘柄しか吸わなくて」 

加賀「それを譲りたいと? 」 

提督「あぁ。そんなにあったら湿気っちゃうだろ」 

加賀「……どうせなら毎日吸えばいいのでは」 

提督「え、毎日ヤれってこと? 」 

加賀「…………」 

提督「…………」 

加賀「…………今のは品のないジョークでいいのね。そうよね」 

提督「ん? ……あ、え、普通に吸えと? 」 

加賀「普通はそう思うでしょう」 


134: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:30:01.32 ID:19BuZHL4O

< そう、こんな朝の一幕でした > 





提督「で、でもさぁ……毎朝吸って肺痛めつけてブレスケア噛み砕くのはちょっとね」 

加賀「それはお酒を減らしてから言ってちょうだい」 

提督「それをお前に言われるのか」 

加賀「あなたより強いもの」 

提督「……まぁ、そうだけど」 

加賀「…………私も、あなたには身体に気を付けてほしいのよ」 

提督「……善処します」 

135: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:31:10.51 ID:19BuZHL4O

< 包み隠さないということ > 





高雄「六月二十二日の誕生石はサンストーン。 
石言葉は“ 一生懸命 ”、“ 拘り ”、そして“ エリート ”」 

天城「こんな人でもこの国のエリートなんですよね……」 

高雄「そうですね」 

天城「なにやら世の無常と理不尽を感じます」 

高雄「お察しします」 

天城「はぁ……」 

提督「え、あのさ。俺目の前にいるよな? なにこれ、悪口大会かなんかなの? ねぇ」 

天城「目の前にいるからこそ言ったのです。そういうことを言える関係でしょう? 天城たちは」 

提督「ま、まぁそうかな」 

天城「では、天城は姉様と約束がありますので」 

提督「おう、またな」 





提督「……なぁ、もしかしなくても煙に巻かれた? 」 

高雄「明らかにそうでしょう……本音も混ざっていたと思いますけどね」 

136: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:31:40.10 ID:19BuZHL4O

< ボウリングの日 > 





天城「らしいです」 

愛宕「そうなの? 」 

天城「はい」 

愛宕「ふーん……だって」 

提督「え、俺? 」 

愛宕「だってあなたしかやったことある人いないじゃない」 

提督「確かに。……でも別に今から行けるわけじゃないし」 

高雄「カラオケを増設してこの上そんなものまでつくるのは……」 

提督「だよなぁ」 

137: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:32:43.97 ID:19BuZHL4O

< 好きな人と同じ趣味を > 





Littorio「あなたの趣味ってなんなのかしら、提督? 」 

明石「女漁り? 」 

提督「ひっでぇ」 

雲龍「あ、じゃあ女遊び? 」 

提督「……読書とか映画とかあるだろ。お前らも時々の俺の本読んだりしてるじゃねぇか」 

Littorio「だってらしくないんですもの」 

提督「あ? それならあと格と……やっぱいいや。読書と映画で」 

明石「格闘技? 」 

雲龍「寝技? 意味深? 」 

提督「……だから途中で言うのやめたのに」 

Littorio「えーっと、それはさすがに一緒にというわけにも……」 

提督「しなくていい」 

138: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:33:31.66 ID:19BuZHL4O

< 普段の行いから > 





高雄「今日の誕生花は忘れ草。花言葉は“ 愛の絆 ”」 

Littorio「色々と寄り道や迂回はしていますけれど」 

高雄「ええ」 

Littorio「あなたと彼、深い絆を持っていますね」 

高雄「そう、でしょうか」 

Littorio「あなたを見る目が、違うのです」 

高雄「はぁ」 

Littorio「何も優しそう、なんていう漠然としたものだけではありません。 
高雄の足元を気にしたり、ドアは自分で開けたり、他の男性と会ったときにはきっと間に入ったりしているでしょう? 」 

高雄「…………」 

Littorio「…………」 

高雄「…………」 

Littorio「……えっと、違ったかしら? 」 

高雄「……いえ、確かに思い当たる節はありますし大事にされているとは思うのですが」 

Littorio「ええ」 

高雄「…………どうも先入観なのか女好きの優男のようなイメージしか湧かなくて」 

139: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:34:17.28 ID:19BuZHL4O

< 受けられぬ感謝を塞ぐには > 





提督「今日のカクテルはヨーグルトストロベリーミルク。 
カクテルワードは“ 人を助け、気配りのできる素直な人 ”、だ」 

高雄「…………」 

提督「…………」 

高雄「…………」 

提督「……どうした」 

高雄「……いえ、よく考えればあなたに助けられた、と言えることが思い出せないな、と」 

提督「…………」 

高雄「別にないわけではないと思うのです。 
事実よく思い出せばあるのですが……印象に残らないというか」 

提督「……高雄と一緒にいるときに長い間助けが必要な状態ではいたくないからさ」 

高雄「…………」 

提督「…………」 

高雄「…………」 

提督「…………」 

高雄「……あぁ、やはり私はあなたのことが好ンーーーー」 

140: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:35:21.81 ID:19BuZHL4O

< 甘く深く、そして > 





愛宕「キス、したわね」 

高雄「ぁ、ルージュが」 

愛宕「それもあるけど……瞳が、ね」 

高雄「…………」 

愛宕「まー、なんていうの? そそる目をしてるっていうかね? 」 

高雄「……私は、悪くない」 

愛宕「そうねぇ……」 

高雄「…………」 

愛宕「…………」 

高雄「…………ストロベリー味の甘いキスでした」 

愛宕「そ……甘かったのは本当にストロベリーのおかげかしらね」 

141: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:36:09.56 ID:19BuZHL4O

< だって苦い顔をしていたものだから > 





明石「……唇」 

提督「ん? 」 

明石「……ルージュ、残ってますよ」 

提督「あぁ、そういえば拭ってない……ん、これでいい? 」 

明石「……はい」 

提督「…………」 

明石「…………」 

提督「……ニュー・シネマ・パラダイスでもどうかな」 

明石「……映画、ですか? 」 

提督「いや、それをイメージしたカクテル。そんなに強くないかな」 

明石「……甘い、甘いカクテルなら、いただきましょう」 

142: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/22(月) 23:36:53.25 ID:19BuZHL4O

< 長いお別れには早すぎる > 





提督「俺の憧れはフィリップ・マーロウだから。言ったっけ? 」 

明石「……それあんまり威張れませんよね」 

提督「まぁね。でもああいう男になりたかった」 

明石「探偵? 」 

提督「生きていけるだけの日銭と煙草と酒と、慰めてくれる女、口説ける女」 

明石「はぁ」 

提督「それだけで生きていけると思っていた時期がありました」 

明石「あぁ、さすがに今は思ってないんですね」 

提督「そりゃね。ま、マーロウだって所帯を持てば丸くな……なってねぇわ」 

148: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:26:23.90 ID:IgJWJFwpO

< 深夜テンション、延長で > 





天城「…………ん」 

雲龍「…………Zzz」 

天城「…………」 

雲龍「…………Zzz」 

天城「…………え、姉様? 」 

雲龍「…………Zzz」 

天城「…………」 

雲龍「…………Zzz」 

天城(…………寝起きが悪いのは知っていましたが、 
ベッドから落ちて枕を放り投げているのはさすがに初めてですね) 

雲龍「…………Zzz」 

天城(…………なにか嫌なことでも……それとも深夜テンション、というものでしょうか) 

149: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:27:22.70 ID:IgJWJFwpO

< アスリートは加速する > 





愛宕「はーい、身体倒しましょうねー」 

提督「おいふざけんな股割りなんてできるかおいやめひぃ」 

愛宕「ふふ……きついのはここくらいですかー? 」 

提督「きつきつもっと前か……ん? 」 

愛宕「うん? 」 

提督「……もっとイケるわ」 

愛宕「んー? 」 

提督「おおう……あれ、俺の身体能力上がってね? 」 

愛宕「オリンピックでも目指しちゃう? 」 

提督「遅咲きにも程があるな……さーて、外走ってくる。お前もくるか? 」 

愛宕「おっぱい痛いから嫌」 

提督「あ、そう……かき氷でも用意しといて」 

愛宕「スポドリがけのでいい? 」 

提督「なんだよそれ……」 

150: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:28:06.17 ID:IgJWJFwpO

< 乗り越えろ、予報は雨だ > 





高雄「六月二十三日の誕生石はルビーインゾイサイト。 
石言葉は“ 成功 ”、“ 学ぶ ”、そして“ 失敗を乗り越える ”」 

Littorio「あー……よく走りますね」 

高雄「最近は室内トレーニングとウォームランニングだけだったので」 

Littorio「はぁ」 

高雄「…………」 

Littorio「…………」 

高雄「…………」 

Littorio「……暑い中走っている他人を見ながらエアコンとお菓子、というのはいいものですね」 

高雄「まったくです」 

151: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:29:05.49 ID:IgJWJFwpO

< 汗の滴る > 





提督「ふぅ……今の俺は好青年オーラムンムンだと思う」 

愛宕「汗だくの三十代とかニッチ過ぎでしょ」 

提督「えぇ……そう? 」 

愛宕「……ごめん、ちょっと惹かれたかも」 

提督「うへぇ、ドン引き」 

愛宕「もうっ……さっさとシャワー浴びてきなさい」 

提督「かき氷は? 」 

愛宕「部屋に用意しとく」 

提督「シロップは? 」 

愛宕「イチゴ」 

提督「よっしゃ、行ってくるぅ! 」 

愛宕「はいはい」 

152: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:30:57.11 ID:IgJWJFwpO

< 何を始める気なんだ > 





提督「つーか、明石が明らかな改造単車乗り回してたんだけど。あいつおかしいだろ」 

愛宕「えーっと……結局研究捨てて遊びに走っちゃったのね」 

提督「それは洒落か? 」 

高雄「……将来の為に私も免許を持っていた方がいいのでしょうか」 

愛宕「えー、でも女には運転させたくない男の人もいるじゃない? 」 

提督「あぁ、運転が下手とかそういう……俺は別にねぇよ」 

愛宕「そう? 」 

提督「お前らの空間把握能力半端ないし。つーか、明石見てたら、ね」 





明石「私ですか? 軍の特例ですけど大特も持ってますよ」 

愛宕「え、えぇ……さすがにおかしくないそれ? 」 

153: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:31:40.93 ID:IgJWJFwpO

< 最近の悩み > 





提督「周りが俺に対して酷いことを言う」 

高雄「どうも寝付きが悪いような」 

愛宕「買ったお味噌が自分には合わなかったこと」 

雲龍「ベッドから落ちて頭が痛い」 

天城「最近満足のゆくまでいいお酒を飲めていません」 

明石「暇潰しで単車を買ったら同時にいい理論が浮かんでどちらも手につかなくなったこと。 
さらに開き直って遊んでいたら思いの外楽しかったこと」 

加賀「赤城さんと長く話していないこと。会って一緒に食事をしたいわ」 

Littorio「祖国のパスタとこの国のパスタの何かが違うこと。美味しいことは美味しいのですが」 





提督「皆贅沢な悩みだなぁ……」 

明石「……あなたが一番贅沢というか自業自得ですけどね」 

154: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:32:29.48 ID:IgJWJFwpO

< 執務室前:廊下 > 





提督「あぁぁぁ! 」 

雲龍「な、なにどうしたの」 

提督「父の日だったのに乳の日するの忘れてた」 

雲龍「……馬鹿? 」 

提督「馬鹿とかお前滅茶苦茶大事なことだろう」 

雲龍「そうじゃなくていつでもできるでしょってこと」 

提督「あぁ……いや、でもそれは乳の日では……うーん」 

雲龍「……いつでも、いいのよ? 」 

提督「……いや……こう、直球で言われるのも違うんだよ。旬を逃したというかなんというか」 

155: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:33:20.53 ID:IgJWJFwpO

< さぁ、舞台は整った > 





高雄「今日の誕生花は都忘れ。花言葉は“ 慈悲 ”」 

雲龍「そういえば」 

高雄「はい」 

雲龍「……あなたをゲームで攻撃し過ぎると恐ろしい目に遭うのを思い出したわ」 

高雄「……あれはあなたが悪いでしょう。あんなに恥ずかしいことを言わさ」 

提督「ん? 高雄が恥ずかしいことを頬を染めて恥じらいながら言うって? 」 

高雄「…………どこから湧いたのですこの痴れ者は」 

雲龍「お、お慈悲をー」 

提督「? お慈悲をー」 

高雄「…………」 





愛宕「で、なぜに花札なわけ? 」 

加賀「さぁ……私はLittorioに教えておくわ」 

156: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:34:46.71 ID:IgJWJFwpO

< 天才と秀才。そして分け方あるいは苦味 > 





提督「に、分けてみると? 」 

愛宕「あえて言うなら明石だけでしょ。その明石もきっと否定するわよ? 」 

提督「そうかな、加賀とかは? 」 

愛宕「赤城さんを天才と思ってるか秀才と思ってるかで変わりそう」 

提督「はーん……確かに」 

天城「……まぁ、提督と愛宕さんと姉様、他の方で分けることはできそうですけどね」 

愛宕「…………」 

提督「…………かき氷にっが」 

157: ◆5z7C0EoTrg 2015/06/23(火) 23:35:21.00 ID:IgJWJFwpO

< どうせならどこまでいけるのかを > 





提督「寝技」 

加賀「意味深」 

高雄「寝る」 

雲龍「意味深」 

愛宕「工作」 

明石「意味し、ちょっとぉ。それはおかしいんじゃないかなぁ? 」 


提督「」高雄「」愛宕「」シリーズ 目次