1: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:23:00.49 ID:wsKddw86o

美希「そう……なの」

P「響のあの芸術のような美しさと鋭さを兼ね備えた八重歯が……」

貴音「折れて……しまったの……です……」

P「………」

美希「………」

貴音「………」


P「あふぅ」バタン!!

美希「プロデューサー!?」


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引用元: ・P「響の八重歯が折れた……だと?」

2: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:24:02.36 ID:wsKddw86o

P「う……うぅ……」プルプルプル

美希「ダメなの……あまりのショックで、ひきつけを起こしているの!」

貴音「なんと痛ましい……しかし気持ちは痛いほどわかります……」

P「…ひ、響ぃぃ~……」プルプルプル

美希「四肢を痙攣させて白目を剥いた状態でも響の名前を呼んでるの……」

貴音「なんと気持ち悪……いえ、気持ちは痛いほどわかります……」

P「もうだめだぁ……おしまいだぁ……」ガクガクガク

美希「ベジータが出てきたの」

貴音「意外と余裕そうですね」

3: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:25:03.94 ID:wsKddw86o

P「ふぅ、少々取り乱してしまった」

美希「正気に戻ってよかったの」

貴音「はい」

P「二人とも……みっともないところを、見せてしまったな」ハハハ

美希「トラウマ級の汚物を見せられたの」

貴音「はい……」

P「まあ、それは置いといて……響の八重歯が折れたって……本当なのか?」

美希「本当だよ、ポッキリ折れちゃったの」

P「そうなのか?貴音」

貴音「はい、本当です。先程、響を見たときに確認しました」

P「そうか……本当なのか……」

美希「なんで貴音に聞き直したのかな?」

4: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:25:54.50 ID:wsKddw86o

P「マズいことに……なったな」

貴音「はい、不味いことに……なりました」

P「よりによって八重歯か……」

美希「よりによって八重歯なの……」

P「響の八重歯が折れたということは、つまり」


P「響の魅力の半分が失われたということか」

貴音「いえ、響の魅力の7割が失われました」

美希「全部無くなったの、八重歯のない響なんて響じゃないの!」

響「3人とも自分に謝れぇ!!」

5: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:26:49.99 ID:wsKddw86o


響「黙って聞いてれば好き勝手言って!いい加減にしろ!」

美希「あ、響の残りカスなの」

響「やめろ!人に向かって残りカスとか言うな!!」

美希「え~、でも八重歯のない響って、響じゃないって思うな~
   だって八重歯が無いんだよ?それを響って呼ぶのは八重歯と響に申し訳ないことだって思うの」

響「なんだその超理論は!?人をなんだと思っているんだ!?」

貴音「言いすぎですよ、美希」

響「貴音!そうだ言ってやれ!」

貴音「それは響(7割引)に失礼というものです」

響「貴音!ちょっと黙れ!」

6: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:27:22.94 ID:wsKddw86o

貴音「おや?響(7割引)どうかしましたか?」キョトン

響「貴音がどうかしてるんだけどね!名前に値引きシールを付けられるとは思わなかったぞ!?」

貴音「なんと!面妖な……」

響「面妖!本当に面妖だぞ!」

P「響……」

響「あ、プロデューサーも言い過ぎ――」

P「響ぃぃぃぃぃぃぃ!!」ブワッ

響「――うぎゃああ!き、急に泣き出して……どうしたんだ!?」

7: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:28:18.29 ID:wsKddw86o

P「八重歯がぁ!!八重歯がなああああい!無くなっているぅ!!!」

響「え?無いって……歯の先端部分が、少し欠けただけだぞ?」

P「先端の鋭さが無くなった八重歯なんて、八重歯じゃない!!」

響「ええぇ!?」

美希「そうなの!そんなの八重歯じゃないの!ただの歯なの!!」

響「歯ならいいんじゃないのか?」

美希「そういうことを言ってるんじゃないの!残りカスのバカ!もう知らないの!!」

響「ええぇ……」

P「うおぉぉぉぉぉ!!」ブワッ

美希「なのぉぉぉぉぉ!!」ブワッ

響「ふ、2人とも泣きすぎじゃないか?」

貴音「響(8割引)……皆、八重歯が失われて傷ついているのです……少し黙ってもらえますか?」

響「いま、一番傷ついているのは 間違いなく自分だけどな!」

8: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:29:48.30 ID:wsKddw86o

P「うぅ……」グス

美希「なのぉ……」グス

響「ようやく落ち着いてくれた……」

P「なあ美希知ってるか?あの八重歯を育てたのは……俺なんだぜ」ヘヘ

響「いや、なんかよくわからないことを言い出したぞ?」

美希「よく知ってるの。プロデューサー……ずっと付きっきりでレッスンしてたよね」

響「こっちも変なこと言い出したぞ?」

P「なんだ、知っていたのか……」フフ

美希「もちろんなの……響が事務所で昼寝をした時、よくヤスリで八重歯を削って整えていたよね」フフ

響「おいぃぃぃ!!なんかとんでもないことを言い出したぞ!?」

P「響に気付かれないように、あの形に持っていくのに半年もかかったよ……」ヘヘ

美希「響のキラキラだった八重歯が、プロデューサーのおかげで ギザギザになったの!」

響「なんか歯に違和感があると思ったらプロデューサーのせいだったのか!!」

貴音「あの八重歯の鋭さと美しさは、プロデューサーの影の努力によって支えられていたのですね……」ホロリ

9: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:30:58.01 ID:wsKddw86o

P「あとは……『唇を閉じた状態で八重歯だけ出す』レッスンは苦労したなぁ」ハハハ

美希「アレを見たときは、プロデューサーには一生敵わないと思ったの」フフフ

貴音「真、素晴らしき れっすんでした」フフ

響「あれ地味に難しかったぞ、下唇が歯に当たって痛かったし……なんであんなレッスンをしたんだろ?」

P「はは、でもそんな苦労も響の八重歯の為なら……八重歯が……八重……八重歯ぁぁぁぁぁ!!!」ウワァァ!

響「また始まった!」

美希「なのぉぉぉぉぉぉ!!」ウワァァ!

響「そっちも始まった!」

貴音「最早、今生に未練はありません……」ナムアミダブツ

響「こっちは終わりそうだぞ!!」

10: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:31:49.23 ID:wsKddw86o

P「……なぜだ……なぜ八重歯を殺したんだ!答えろ響!!」

響「八重歯を殺すって、スゴイ日本語が出てきたぞ!?」

美希「教えて!なぜ八重歯は死ななきゃならなかったの!?」

響「え~っと……八重歯が欠けた理由を話せばいいんだよね?
  日本語がぶっ飛びすぎて、よくわからなくなってきたんだけど?」

貴音「お願いです、冥土の土産に教えてください」

響「冥土の土産にされるのなら、言いたくはないな……」

P「早く!!」

響「わ、わかったさ!言うから、そんな血走った目で見ないでほしいぞ……」

11: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:32:48.68 ID:wsKddw86o

美希「………」

響「え~っとね、事務所にインスタントの袋麺があって、さっきそれでラーメンを作ろうとしたんだ」

貴音「………」

響「その袋麺の袋が中々破けなくてさ、ハサミもその場になかったから」

P「………」

響「仕方なく歯で袋を噛み切ろうと強く噛んだら………」

美希「………」

貴音「………」

P「………」

響「………歯が割れちゃったんだ」

3人「「「馬鹿ーーーーーー!!」」」

12: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:34:44.03 ID:wsKddw86o

美希「予想以上にアホらしい理由だったの!!」

貴音「響(9割引)、貴女には失望しました!!」

響「う、うぅ……」

P「というか、噛み切るなら普通は前歯を使うだろ!!なぜ八重歯でやった!?」

響「いや……八重歯が一番鋭くて噛み切りやすそうだったから……」

美希「なんてこったなの!」

貴音「プロデューサーの影の努力が、このような結果をもたらすとは……まさに悲劇!!」

P「あふぅ」バタン!!

響「ぷ、プロデューサーが倒れたぞ!?」

美希「でも、アイドルが歯を割るなんて、アイドルとしての自覚が足りないって思うな~」

響「え?倒れたプロデューサーを無視して普通にダメ出しするのか?」

貴音「そうですね、『芸能人は歯が命』と昔から申しますし、軽率な行動であったのは確かです」

響「うぅ……た、確かに軽率だったと思うけど……」

美希「なんなの?そこまでラーメンが食べたかったの?」

13: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:35:32.60 ID:wsKddw86o

響「いや、もうお昼だったからさ……3人共お腹空いたかな~?って思って」

貴音「え?」

響「それで皆の分のラーメンを作ろうとしたら……」

美希「………」

貴音「………」

響「割れて……欠けちゃったんだ……」シュン

美希「………」

貴音「………」


美希「響……なんて良い娘なの」ヨシヨシ

響「う、うがー!なんで自分の頭を撫でるの!?」

貴音「ふふふ、そんなことだろうと思っていました。私は信じておりましたよ」ヨシヨシ

響「さっき失望したとか言ってたよね?ね?」

14: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:36:57.80 ID:wsKddw86o

美希「大丈夫、他のみんなが響を見捨てても、ミキは見捨てないから」ヨシヨシ

響「え?なに?自分は見捨てられることが決定してるの!?」

貴音「私もです。例え八重歯が無くとも響は響ですから」ヨシヨシ

響「スゴイな~、さっきまで自分に値引きシールを付けてた人と、同一人物とは思えないな~」


<ガチャ


真美「たっだいま→」

亜美「ただい…うおっ兄ちゃん!?なんで床に寝てるのさ?」

P「う……うぅ……うぅ~」プルプルプル

真美「震えているよ……」

亜美「まるで生まれたての子鹿のようだね……」

美希「おかえり亜美真美」ヨシヨシ

貴音「2人ともおかえりなさい」ヨシヨシ

響「お、おかえり~」

真美「そしてひびきんの頭を撫でてる2人!」

亜美「その顔は聖母のようにとても優しかった!」

15: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:37:31.71 ID:wsKddw86o

真美「へぇ~ひびきんの歯欠けちゃったんだ~」

亜美「おお!先っちょ部分が見事になくなっていますなぁ」

美希「2人共、あまり響を責めないであげてほしいの」

貴音「そうです、いま誰よりも傷ついているのは響なのですから……」

響「………」

真美「いや別に責めたりしないけどね」

亜美「それよりもひびきんの『お前らが言うな』的な視線が2人に向いてるのが気になるYO」

美希「響はこれから八重歯の無い人生を、歩むことになるんだね……」ホロリ

貴音「真、険しい道のりですね……」ホロリ

真美「なんで?欠けた歯なんて くっつければいいじゃん」

美希「……え?」

16: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:38:25.29 ID:wsKddw86o

貴音「欠けた歯は戻すことができるのですか!?」

亜美「程度にもよるけどできるよ」

真美「ひびきん、欠けた方の歯はまだある?」

響「一応取っておいたけど……」

亜美「それくらいの かけらなら、歯科用の接着剤でくっつくんじゃないかな」

真美「それ持って早く歯科病院に行ってきなよ」

亜美「あと欠けた歯は湿らせたガーゼで包んでおくといいよ」

響「う、うん」

美希「………」

貴音「………」

P「うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」ガバッ

真美「うわ!急に起き上がった!」

P「震えて寝てる場合じゃねぇ!響、病院までスグに行くぞぉ!!」

17: 名無しさん 2016/10/19(水) 00:39:28.11 ID:wsKddw86o

美希「そうなの!急ぐの響!」

貴音「そうです!事は一刻を争いますよ!!」

響「わ、わかったさ」

P「それじゃあ行ってくる!」

響「行ってきます」


<バタン!


美希「プロデューサー……あとは頼んだの……」

貴音「ご武運を……」

真美「キメているところ悪いけどさ」

亜美「病院に行くとか、誰も思いつかなかったの?」

美希「まったく思いつかなかったの!」

貴音「八重歯が失われたという衝撃で……考えが及びませんでした」

真美「2人とも、どんだけショックを受けてるのさ……」

亜美「いや……兄ちゃんとひびきん本人も含めたら、4人ともだよ真美……」




その後、響の八重歯は無事くっつきましたとさ




おわり